求人ゼロ円で、採用が決まりました——2年前の仕事が、面接に来た話
2026-09-17

今日はね、ちょっと驚いてもらいますよ。嬉しかった話なので。
求人をかけてない状態で、人の採用が決まりました。
まだ働いてはいなくて、初出勤は、この記事を書いた翌日。でも、この経緯がね——ちょっといい話なんですよ。
来てくれたのは、あの子の妹でした
応募してくれたのは、うちで働いてくれてたスタッフの妹です。今、高校1年生。
その妹はね、たまにうちへラーメンを食べに来てくれる子だったんですよ。で、お姉ちゃんが働く姿を、客席から見てた。家では「お店の雰囲気って、どうなの?」って聞いてたらしくて。
お姉ちゃんの答えが、「雰囲気は、けっこう働きやすいよ」。
それを聞いてて——「あの店で働きたい」って、来てくれたと。
ここで大事なことをひとつ。お姉ちゃんは、もう2年前に卒業してます。 今うちにはいません。つまりこれ、「姉のコネで滑り込んだ」んじゃなくて、2年前の記憶を頼りに、自分の足で来たんですよ。
面接は、厳しくやりました
で、面接。ちゃんとやりました。むしろ、厳しく。
見たのは、挨拶、返事、受け答え。ここはやっぱり厳しく見るし、「基準に満たないなら、ダメですよ」っていう話も、はっきりしました。
それから、これも先に言いました。
「お姉ちゃんがいたからって、特別扱いはしないよ」
たぶんね、これは本人も望んでることなんですよ。「姉の妹」として採られたいわけじゃない。一人の応募者として、ちゃんとジャッジされたい。だから、そうしました。
「私は、姉を超えたいです」
でね、その面接の最中です。彼女、こう言ったんですよ。
「私は、姉を超えたいです」
……俺、思わず笑いそうになって。で、こらえたんですよ。
誤解しないでほしいんですけど、この笑いは「できるもんか」の笑いじゃないんです。逆です。
「お、挑戦者が来たぞ」っていう笑いなんですよ。久々に、根性の入ったやつが来たな。骨のあるやつが来たな——っていう、嬉しさで口元がゆるむやつ。分かりますかね、この感じ。
『SLAM DUNK』の山王戦に、こういう場面があるんですよ。王者・山王の最強センター、河田が、挑んでくる桜木にフッと笑う。それを見ていた記者が言うんです——あれは「勝てるもんか」の笑いじゃない、って。
あれです。まさに、あの笑い。
で、俺が返した言葉は、これだけです。
「おう、そうか」
内心は、ニヤニヤしてましたけどね。

求人って、1人採るのに5万円かかるんですよ
ここからは、経営の話をしますね。
アルバイトの求人を普通に出すと、1人採用するのに、だいたい5万円かかるって言われてます。求人サイトの掲載料とかを全部ならすと、そのくらい。
今回、うちが払った求人費は——ゼロ円です。
じゃあ、何が求人票の代わりをしたのか。考えたら、ふたつなんですよ。
2年前にお姉ちゃんが見てた「店の空気」と、姉妹の間の「働きやすいよ」の一言。
前に書きましたけど、店の評価って、知らない間に決まってるんです。僕が面接してたつもりの2年間、実は店のほうが、あの姉妹に面接されてた。——それに受かったのが、今回だったんでしょうね。
2年越しに、返ってきた
正直ね、ここがいちばん、じんときてて。
お姉ちゃんが働いてたのは、2年前ですよ。その頃、僕はただ、いつも通りやってただけで。挨拶にうるさくて、ありがとうをちょっと大げさに言って、スタッフが働きやすいようにって、それだけを一生懸命やってた。
まさか、人に一生懸命、真面目にやってたことが、2年越しに返ってくるなんて、思いもしなかった。
思い出は配当金だって前に書きましたけど、これもそうなんですよね。2年前の日々が元本で、今回の応募が配当。いい職場を作ることって、いちばん時間のかかる、いちばん強い求人活動なんですよ。
……と、ここまで言うとね、こう思いますよね
自分へのツッコミも書いておきます。
「身内の採用って、揉めませんか?」
姉妹が同じ店に並ぶなら、気を使う場面もあったと思います。でも、お姉ちゃんはもう卒業してるので、その心配はほぼないんですよね。
それに「特別扱いしない」はもう宣言済みです。基準は全員同じ。挨拶、返事、受け答え。姉の妹だろうと、そこは一切曲げません。
「お姉ちゃんは、どう思ってるんですか?」
——正直、分かりません。直接聞いたわけじゃないので。
妹がうちを選んでくれたことを、喜んでくれてたらいいなとは思いますけど、そこは想像で書かないでおきます。
「働く前から、褒めすぎじゃないですか?」
そのとおりで、実際どうかは、働いてみないと分かりません。 明日が初出勤なので。
ただ、今までの面接の経験からいうと——すごくいい人材になる、そんな感じがしてて。ここは外れたら外れたで、正直に書きます。続報、待っててください。
(追記)続報、書きました。→ 挑戦者の初日——面接で分かるのは、半分です

いちばん強い求人票は、今日の店の空気
まとめますね。
求人広告は、1人5万円。でも、いちばん強い求人票は、お金で買えないんですよ。
今日の店の空気が、2年後の応募者を連れてくる。 スタッフの働く姿が、その家族に届いてる。「働きやすいよ」の一言が、求人サイトの何十万円分も働く。
だから僕は明日も、いつも通りやるだけ。挨拶にうるさくて、ありがとうを大げさに言う、いつものやつを。
この話には、始まりがあります。妹さんが最初にお店へ来てくれた日のことは、こっちに書きました。
→ 「求人って、してますか?」——求人費用ゼロで人が来た、リファラル採用の話
——さて。明日は、挑戦者の初出勤です。