飲食店のバイト面接、店主が本当に見ていること——「何か質問ありますか?」の前に、結果は決まっています
2026-10-21

結論から言いますね。
面接の最後に、「何か質問ありますか?」って聞かれるじゃないですか。あそこで合否が決まると思ってる人、けっこう多いと思うんですよね。
決まってません。その前に、もう決まってます。
地方で小さなラーメン屋をやっている店主です。これまで、高校生から大人まで、何人も面接してきて。今日は、飲食店のバイト面接で、雇う側が本当は何を見ているのかを、正直に書きます。
求人サイトには、「よく聞かれる質問」や「志望動機の例文」がたくさん載ってますよね。でも、店主が心の中で何を思ってるかは、たぶん、どこにも書いてない。だから、それを書こうと思って。
よく聞かれること、店主が本当に見ているところ
先に、全体を表にしておきますね。
| 面接で聞かれること | 店主が本当に見ているところ |
|---|---|
| 服装 | おしゃれかどうかではなく、どういう思いで来たか |
| 志望動機 | 「家が近いから」を、何番目に言うか |
| 頑張ったこと・苦労したこと | 「なんで?」と聞かれても、答えが続くか |
| 「何か質問ありますか?」 | それまでの受け答えの、答え合わせ |
ひとつずつ、いきますね。
服装は、「マイナスからのスタート」になるかどうか
服装、気になりますよね。
正直に言うと、ダボダボの服を着てきたり、汚れてる服で来たりした場合。僕は、**「ああ、そういう思いで、ここに来たんだな」**って受け取っちゃうんですよね。
それだけで落とす、とは言いません。でも、その目線で面接が始まる。つまり、マイナスからのスタートになるんですよ。
逆に言うと、服装で点数が上がることは、あんまりないんですよね。服装は、加点するところじゃない。減点されないようにするところです。
志望動機の「家が近いから」は、2番目に言う
次は、志望動機。
これもね、正直に書きますけど。学生さんの志望動機って、**ほとんどが「家が近いから」**なんですよ。
それ自体は、別に悪くないんですよ。本音だと思うし、通いやすいのは大事なことなので。
でも、それを一番に出してきたら、不採用です。
「ここで働きたい理由は、◯◯です。それに、家も近いので」。こう言ってくれたら、いいんですよ。近いからは、むしろプラスになる。
ところが、一番目に「近いからです」が来ると、「あ、なんだ」ってなっちゃうんですよね。うちじゃなくても、近ければどこでもいいんだな、って。
同じ「近いから」でも、何番目に言うかで、受け取り方がまるで変わる。 ここ、応募する側からは、たぶん見えてないと思います。
本物の志望動機って、本人が気づいてないところに埋まってることもあるんですけどね。雑談の中から本物が出てきた話も、前に書きました。

本当に見ているのは、受け答えの「中身」
じゃあ、面接の途中で「あ、この人は大丈夫だ」と思うのは、どこか。
受け答えの中身です。
僕、たまに、ちょっと難しい質問をするんですよ。
「今まで、頑張ったことって何ですか?」 「今までで一番苦労したこと、挫折したことって何ですか?」
で、答えてもらったら、そこから深く聞いていく。「それは、なんでですか?」「なんで、そうなったんですか?」「どうして、そう思ったんですか?」って。
ここで、何も答えられなくなる人がいるんですよ。
立派な話を聞きたいわけじゃないんですよ。部活でも、勉強でも、家のことでもいい。ただ、「なんで?」と聞かれたときに、自分の言葉で答えが続くかどうか。続かない人は、正直、中身がない。
もちろん、中身がなくても、勢いでスパーンといい仕事をする人もいます。そこは、否定しない。
でも、何も考えてない人とは、正直、あんまり働きたくない。 これが、本音です。
「何か質問ありますか?」で、合否は決まらない
さて、冒頭の話です。
面接の最後に、僕も「何か、うちの店に質問はありますか?」って聞きます。そこで、印象に残っている質問が二つあるんですよね。
採用した人の質問
ひとつは、こういう質問でした。
「この会社が、一番大事にしていることは何ですか?」
これを聞かれたとき、思ったんですよね。この人は、うちの方針に沿った働き方をしたいんだな、って。
僕は、こう答えました。
「お客さんには、気分よく来て、気分よく帰ってもらいたいと考えています。だから、『いらっしゃいませ』は必ずお客さんのほうに向けて言う。洗い物をしてても、下を向いてても、背中を向けてても、です。忙しいは理由にならない。むしろ、忙しいからこそ効くんですよ。お客さんは『あんなに忙しいのに、こっちを見てくれた』って思うので。ラーメン屋なんて、たくさんあるじゃないですか。その中で『ここに来てよかった』って思ってもらえる仕事をする。それを、一番大事にしています」
もちろん、その人は採用しました。
で、ここからが大事なところで。
僕は、その質問が来る前に、もう採用を決めてたんですよ。
そこに至るまでの受け答えが、すでにすごく良かったので。そこに、さらにこの質問が来た。
なんて言うんだろう。採用される人だからこそ言えるセリフ、っていうのがあるのかな、って思いましたね。
その人がどうなったか。ここ最近で、一番の大当たりでした。前に書いた、面接で「姉を超えたいです」と言った、あの挑戦者です。初日の様子も書いているので、よかったら読んでみてください。
採用しなかった人の質問
もうひとつは、こういう質問でした。
「営業時間って、何時なんですか?」
……おいおい、って思いましたよね。営業時間、聞いてくるのかよ。そんなもの、調べればすぐ分かるじゃないか、って。
この質問を聞いて、「ああ、もうこの人じゃないな」と分かりました。
でも、これも同じで。その質問が来た時点で、僕はもう、採用しないと決めてました。 決めていたところに、さらにその質問が来た。それが、答え合わせになった、という感じです。
最後の質問は、答え合わせ
だから、これは一応、言っておきますね。
最後の質問をしたからといって、採用か不採用かが決まるわけじゃないんですよ。 結果は、その前に、もう決まってる。
いい質問で逆転できるか、というと、たぶん、できない。逆に、それまでが良ければ、最後の質問で「やっぱりな」になる。
で、面白いのは、採用した人と採用しなかった人で、質問の向きがまるで違ったことなんですよ。
「一番大事にしていることは?」は、店のことを知ろうとする質問です。調べても分からないことを、本人に聞いている。
「営業時間は?」は、調べれば分かることを、そのまま聞く質問です。
最後の質問って、たぶん、その人がそれまでどういう気持ちで面接に座ってたかが、そのまま出るんですよね。だから答え合わせになるんだと思います。

次の面接から、変えること
ここまで、えらそうに書いてきましたけど、僕も、まだ途中です。
面接で分かるのは、半分くらいだと、前に書きました。残りの半分は、働いてみないと分からない。
その半分を、少しでも面接の中で確かめたくて。次の面接から、実際に「いらっしゃいませ」を言ってもらうことにしたんですよ。僕がお客さん役になって、です。
理由は、シンプルで。
「この人、たぶん『いらっしゃいませ』くらいは言えるだろうな」。その期待で採っちゃうと、あとで「やっておけばよかった」になるんですよ。だから、期待はしない。その場で、確かめる。
さっきの「一番大事にしていること」の答えが、そのまま面接の中身になった感じです(自分で言うのもなんですけど、筋は通ってると思います)。
……と、ここまで言うとね、こう思いますよね
自分へのツッコミも、書いておきます。
「緊張して、うまく話せなかったら、それで終わりですか?」
終わりじゃないです。緊張は、全員してるので。
僕が見てるのは、声の大きさとか、話す速さじゃないんですよね。うまく話せなくても、聞かれたことに、自分の言葉で答えが返ってくるか。見てるのは、そこです。言葉に詰まっても、中身がある人は、ちゃんと分かりますよ。
「じゃあ、最後の質問は、しなくてもいいってことですか?」
合否は、そこで決まらない。それは、本当。
でも、「この店のことを、もっと知りたい」と思って座っている人なら、聞きたいことは自然に出てくると思うんですよ。無理に用意した質問より、その店の何が気になったのかを、そのまま聞けばいい。それが一番、伝わると思います。
「店主の好みで決めてるだけじゃないですか?」
そう見えるかもしれません。でも、僕が決めているのは、好き嫌いじゃなくて、**「この人と、お客さんに『ここに来てよかった』と思ってもらえる仕事ができるか」**なんです。採用は確率論なので、外れを引かないために、見るところを決めて見ています。

面接は、入ってきたところから始まっている
まとめますね。
飲食店のバイト面接で、店主が見ているのは、ここです。服装は、どういう思いで来たか。志望動機は、「家が近いから」を何番目に言うか。頑張ったことは、「なんで?」に答えが続くか。
そして、最後の「何か質問ありますか?」で、合否は決まりません。結果は、その前に決まっていて、最後の質問は答え合わせです。
これから面接を受ける人に、ひとつだけ言うなら。
面接は、最後の一言で逆転する場所じゃない。入ってきたところから、ずっと見られてる場所です。でも、それは怖い話じゃなくて、裏を返せば、ちゃんと準備して来た人は、ちゃんと伝わるってことなんですよ。
僕の店が大事にしているのは、「ここに来てよかった」と思ってもらうこと。面接も、たぶん同じで。応募してくれた人にも、そう思ってもらえる面接にしたいんですよね。