「え、それ面接で言いなよ」——本物の志望動機は、雑談の中に埋まってた話
2026-09-06

今日はね、就活の話です。
うちで働いてくれてる学生の子が、いま就職活動をしてまして。面接が一週間後っていうタイミングで、店でその話になったんですよ。
「志望動機、なんて答えるの?」
その子の第一志望はね、農業系の団体なんです。
で、面白いのが——地元にも同じ団体はあるのに、あえて車で1時間くらい離れたところを受けるんですよ。
「面接の準備はしたの?」って聞いたら、「一応、してます」と。
「なんて答えるの?志望動機は」
「私は、物を育てたり、成長を促したり見守ったりするのが好きなので、ここで働きたいと思いました」
……うん。そうなんだ、って返したんですけどね。
正直に書きますよ。これ、味の薄い話なんですよ。
誰でも言いそうじゃないですか。農業系を受ける人は、たぶん全員これを言う。
僕も面接する側の人間なので、分かるんですけど——面接官って、何百人と面接してるんですよ。 上っ面の言葉って、聞いた瞬間に分かっちゃうんです。「あ、用意してきたやつだな」って。
「なんで、地元じゃないの?」
で、僕、ふと気になって聞いたんです。
「でもさ、なんで地元の団体じゃなくて、わざわざ離れたところを受けるの?」
そしたらね、こう返ってきたんですよ。
「いろんなところの説明会を受けたんですけど、そこの説明をしてくれた人が、すごく丁寧で、分かりやすくて、優しかったんです。
私、こういう人がいる会社で働きたいって思ったんですよ」
——聞いた瞬間、言いました。
「え、それ面接で言いなよ」
こっちが本物なんですよ
考えてみてほしいんですけど。
「物を育てるのが好き」は、誰でも言える話です。
でも「説明会のあの人が丁寧で、こういう人と働きたいと思った」は——その子にしか言えない話なんですよ。実際に足を運んで、実際に感じたことだから。
しかもこれ、本質的な話じゃないですか。
「どこで働くか」じゃなくて、「誰と働きたいか」。
会社を選んだ理由が「人」だって言ってるんですよ。地元より1時間遠くても、あの人たちのところがいい、って。——これを面接で聞いたら、僕なら覚えてますね。何百人の中でも。
で、一緒に言い方を組みました
その場でね、こう言えばいいんじゃない?って話をしたんです。
「私があえて地元ではなくこちらを志望した理由は、説明会で対応してくださった方が、とても丁寧で、安心感があったからです。
こういう方々と一緒に働けたら嬉しいですし——私自身も、ああいうふうに、人に安心感を与えられる人になりたいと思いました」
「働きたい」で終わらせないで、「私もそうなりたい」まで言う。 そうすると、憧れが目標に変わるので。
それから、もうひとつ付け足しました。
「学生時代にアルバイトをしていて、そこで学んだのは、どこで働くかではなく、誰と働くかが大事だということです。毎日同じ環境で働くからこそ、気遣いのできる方々と働けるかどうかが大切だと思っています」
これ、嘘が一個もないんですよ。うちの店で、実際に感じてきたことですから。
そしたらその子、目をまんまるに見開いてね。
「ありがとうございます!絶対それ言います!」
……で、僕はそのあと、AIで文章をきれいに整えて、その子に渡しました。うちの店、志望動機の添削までやってます(笑)

……と、ここまで言うとね、こう思いますよね
自分へのツッコミも書いておきます。
「志望動機を大人が作ってあげるの、ズルくないですか?」
——作ってないんですよ。 ここ、大事なところです。
僕がやったのは、その子の中にもうあったものを、拾って渡しただけなんです。
「説明会の人が優しくて、こういう人と働きたいと思った」——これ、僕が考えた話じゃない。その子が実際に感じて、実際に口にした言葉です。本人はそれを「ただの雑談」だと思ってて、面接で言うつもりはなかった。というか、それが武器だと気づいてもいなかったんですよ。
ゼロから盛るのはズルです。でも、本人の本当の話を「それ、言っていいんだよ」と教えるのは——たぶん、大人の仕事です。
「受かったら、店から抜けちゃいますよね?」
はい。……でもね、この子、どの道、春に卒業するんですよ。
そして、うちの店にすごく貢献してくれた子なんです。だから僕はね、この子の第一志望に、失敗してほしくない。
自分の店で頑張ってくれた人には、いい人生にしてほしいって、本気で思ってるんですよ。だから「バイトを卒業したあと、どういう人生を送るの?」っていうのが気になって、深掘りして聞いてた——そしたら、答えが見えちゃった。それだけの話です。
「なんでそこまでするんですか?」
前に「成長は、貢献してる人のところに勝手にやって来る」って書きました。
あれね、応援も同じなんですよ。ずっと店に貢献してくれた子だから、周りが応援したくなる。今度は、こっちが渡す番だっていうだけです。

本物は、雑談に埋まってる
まとめますね。
志望動機の欄に書いてあるのは、たいてい「用意した言葉」です。味が薄い。面接官には、一発でバレる。
本物はね、雑談の中に埋まってるんですよ。
「なんで地元じゃないの?」——このなんでもない質問の先に、その子の本当の理由があった。本人は気づいてもいなかった。
前に、スタッフの旦那さんの盃の話で「雑談に、その人の大事なものが全部置いてある」って書きました。今回も、まったく同じでした。
だから、もし身近に就活中の子がいたら、志望動機を添削する前に、雑談で「なんで?」って聞いてあげてください。 本物は、たぶんもう、その子の中にあるので。
——面接は一週間後です。あの子が目をまんまるにした顔、いい顔だったんですよ。
受かったら、また報告しますね。
(追記) その後の報告です。一次面接、通過したそうです。 次は二次面接。——雑談に埋まってた本物の志望動機、ちゃんと働いてるみたいですよ。続報、また書きますね。