「店長は学生時代、クリスマスは…?」——入ったばかりのスタッフに、雑談を振られた日
2026-10-11

閉店後、片付けをしてたときの話です。
「姉を超えたい」と言って入ってきた挑戦者の子、覚えてます? あの子が、先輩スタッフと一緒に片付けをしながら、ちょこちょこ恋愛の話をしてたんですよ。
僕は、ちょっと離れたところで作業してて。
そしたら、急にこっちに飛んできたんです。
「店長は、学生時代、クリスマスって女の人と過ごしたりしたんですか?」
……うっ、ってなりました(笑)。
答えは、どうでもいいんです
一応、答えておきますね。
僕は高校時代、部活しかやってこなかったんです。それに、女の子と話すだけで緊張するタイプで。自分から話しかけることもないし、ルックスもいいほうじゃなかったので、モテるほうでもなかった。
だから、クリスマスなんて、ないない。
……まあ、この話はいいんですよ。正直、どうでもいい。
大事なのは、そこじゃないんです。
向こうから、話しかけてくれた
大事なのは、あの子のほうから、僕に質問してくれたってことなんです。
これね、経営者をやってる人なら、分かってもらえると思うんですよ。なかなか、ないことなんです。
入ったばかりのスタッフが、店長に、ちょっとしたプライベートのことを、楽しそうに話してくる。仕事の質問じゃなくて、雑談を。
店長って、スタッフから見たら、たぶん話しかけにくい存在じゃないですか。仕事のことなら聞けても、それ以外の話は、なかなか振れない。
それが、向こうから来た。

たぶん、慣れてきたんだと思う
なんで話しかけてくれたのか。
たぶん、あの子自身が、店の雰囲気に慣れてきたんだと思います。それと——働いてるのが、楽しそうに見えてきたんですよね、僕から見て。
最初は緊張して、言われたことを一生懸命こなしてた子が、片付けの時間に先輩と恋愛の話をして、店長にまで話を振ってくる。
店が、あの子にとって「ちょっと居心地のいい場所」になってきたんだとしたら。それは、店をやってる人間として、すごくうれしいことなんですよ。
こういう子は、大事にしたい
こういうスタッフは、大事にしたいなって思いました。
それと、人としても、伸びてほしい。
仕事ができるようになってほしいのはもちろんなんですけど、それだけじゃなくて。この店で働いたことが、あの子のこれからに、何かしら残ったらいいなって。
だから——大当たりです。
「大当たり」の意味
ここ、ちゃんと書いておきますね。
「大当たり」って言うと、人を当たりとか外れとかで言うなんて失礼だ、って思う人もいると思うんです。
でも、僕が言ってるのは、その人の人間性のことじゃないんです。
面接で、当たりを引いた、ってことなんですよ。採用した僕の判断が、当たった。そういう意味です。そこは、勘違いしないでくださいね。
面接で分かるのは、半分って前に書きました。残りの半分は、働いてみないと分からない。その残りの半分が、片付けの時間の、あの一言で、ちょっと見えた気がしたんです。
……と、ここまで言うとね、こう思いますよね
自分へのツッコミも、書いておきます。
「店長に恋愛の話を振るなんて、ちょっとなれなれしくないですか?」
いや、うれしいんですよ、これが。
もちろん、仕事中にお客さんの前でやったら話は別です。でも、閉店後の片付けの時間に、ちょっと笑いながら。それくらいの距離が、ちょうどいいと思ってます。
「雑談くらいで、そんなに喜ぶことですか?」
喜ぶことです。
雑談って、相手に「この人になら話してもいい」と思ってもらえないと、出てこないので。仕事の指示は、言えば伝わる。でも雑談は、こっちから頼んでも出てこないんですよね。

話しかけてもらえる店に
まとめますね。
入ったばかりのスタッフが、向こうから雑談を振ってくれた。
答えの中身は、どうでもいい(クリスマスの思い出は、ないので)。大事なのは、話しかけてもらえたこと。それは、店に慣れて、働くのが楽しくなってきたサインなんだと思います。
こういう子は、大事にしたい。人としても、伸びてほしい。
面接で当たりを引くって、たぶん、こういうことなんですよね。