写真は、流れて終わる。歌にしたら、何回も再生された——同窓会ムービーを作った話

宴会で、乾杯のために掲げられた何本もの手とグラス

前に、土曜日に店を閉めて同窓会に行った話を書きました。

あのとき「思い出は、何度も味わえる」って書いたんですよ。売上は一度きりだけど、思い出は何度でも味わい直せる、って。

今日はね、その続きです。「何度も味わえる」を、道具にした話。

写真が、流れていく

同窓会のあとって、どうなるか。みなさんも経験あると思うんですけど。

グループLINEに、写真がぽんぽん上がるんですよ。

楽しかったね、って。いい写真ばっかりです。

で——それで、終わりなんですよね。

写真が並んで、スタンプが付いて、そのまま下に流れていく。数日したら誰も開かなくなって、また月日が流れていく。

で——写真が上がってくるのを見ながらね、おそらく、こんな感じで終わっていくんだろうなって思ったんですよ。

僕はそれが、ちょっと切なかったんですよ。

あんだけ楽しかったのに、これで終わりか、って。

もっと深掘った何かが、あの日の話が、残ったらいいのにな——って、ずっと思ってて。

結婚式のムービーが、頭に浮かんだ

そのときね、一瞬、頭に浮かんだんですよ。

結婚式のムービーって、あるじゃないですか。 写真が音楽に乗って流れる、あれ。

——あ、これ、使えるな。

あの日の写真を並べて、歌を乗せる。歌詞には、あの日の話を入れる。——それなら、写真の束が一本の物語になる。

日曜の夜、仕事のあとに作りました

正直に書きますね。歌は、AIと一緒に作りました。

歌をつくるAIと、文章のAI。このブログの読者にはおなじみのやり方です。歌詞の元になる「あの日、何があったか」は、全部僕の頭の中から出してます。どの場面を歌にするか、どの写真をどの順番で並べるか——そこは、AIには決められないので。

作業は、日曜の仕事終わりの夜に取りかかって、深夜までやって——完成したのは、月曜のお昼頃。 実働で5〜6時間ってところですね。初めてで慣れてなかったので、それくらいかかりました。

次の日も店があるのに、何やってんだって話なんですけど(笑)

でも、途中でやめようとは一回も思わなかったんですよね。顔を思い浮かべながら作るものって、疲れないんですよ。

深夜、ノートパソコンの明かりに照らされた手元

グループLINEに、投稿しました

完成した3分のムービーを、グループLINEに上げました。「画面をデカくして全員見てね!」って添えて。

そこからの数時間はね——ちょっと、忘れられないです。

「まって。めちゃくちゃ泣いたんですけど」

「途中のところで、涙が出ました」

「これ、歌と歌詞も自分で作ったの?」

「タオルで拭いてる。何回も見てる」

——何回も見てる。 出ました。この言葉です。

写真は、一回見て流れていった。同じ写真なのに、歌に乗せたら、何回も再生されてるんですよ。

しかもね、こう言ってくれた人がいたんです。

「今回来れなかった人にも、送ってもいい?きっと喜ぶと思う」

来られなかった人にまで、あの日が届いたんですよ。写真だけだったら、絶対に起きてないことです。

「お前、あれ最高だよ」

で、後日。

同窓会に来てた友達が、うちの店にラーメンを食べに来てくれたんです。

食べ終わって、帰り際にね、こう言ってくれたんですよ。

「お前、あれ最高だよ。何回も聞いてるよ。あのムービー、何回も見てるよ」

そのときの僕の心の中、正直に書きますね。

「だろう!!」

……すみません(笑)。でも、本当にそう思ったんです。自信を持って作ったので。 めちゃくちゃ嬉しかったですね。

で、聞くところによると、仲間内でこうなってるらしいんですよ。

「あいつだから、やるな」

——ラーメン屋のあいつは、ああいうことをやる奴だ。この評判、シンプルに嬉しいです。

……と、ここまで言うとね、こう思いますよね

自分へのツッコミも書いておきます。

「それ、ただの自慢話ですよね?」

——今日はね、半分そうです。 否定しません(笑)

でも、書きたかったのは自慢じゃなくて、**「写真と歌の違い」**のほうなんですよ。同じ思い出でも、置き方ひとつで「一回で流れるもの」にも「何回も再生されるもの」にもなる。それを実際に確かめた報告だと思って読んでもらえたら。

「AIで作ったものに、価値あるんですか?」

いい質問ですね。僕の答えはこうです。

AIが作ったのは、です。でも——どの場面を歌詞にするか。誰との何の話を入れるか。どの写真を、どの順番で並べるか。 それを決めたのは、あの日をいちばん惜しんでた僕なんですよ。

道具は道具です。包丁がいいからって、うまいラーメンができるわけじゃないのと同じで。

「5〜6時間って、割に合わなくないですか?」

お金には、1円もなってません(笑)

時間で考えたって、友達に送るだけのものに5〜6時間。割に合わない感じも、しますよね。

でもね、僕がやりたかったのは、みんなを喜ばせることなんですよ。その気持ちで作って、実際みんなが喜んでくれた。友達が店に来て、わざわざ「最高だよ」って言ってくれる。仲間内に「あいつだから、やるな」って名前がつく。

10円の客単価の話をさんざん書いてきた僕が言うんだから、間違いないです。値段のつかないものに、価値はあるんですよ。

夜、スマートフォンで動画を見ている手元

思い出は、置き方で寿命が変わる

まとめますね。

同窓会の記事で「思い出は何度も味わえる」って書きました。あれ、半分だけ正しかったんですよ。

正確には、こうでした。

思い出は、味わえる形にしてあげると、何度も味わえる。

グループLINEに流れる写真のままだと、思い出も一緒に流れていくんです。でも、歌に乗せて一本にしたら——泣いてくれる人がいて、何回も見てくれる人がいて、来られなかった人にまで届いた。

同じ思い出なのに、置き方で寿命が変わる。

最近はね、こう言い換えてます。

思い出は、配当金である。

あの日一日が元本で、ムービーを見るたびに、嬉しさが振り込まれる。一回作っておけば、10年後も20年後も、振り込まれ続ける。——売上は一度きりですけど、こっちは何回でも入ってくるんですよ。

で、白状するとね。僕、もう次のバージョンを考えてます。

また違う形だったら、どう作ろうかなって。もっとみんなを喜ばせたいなって。

——あの日「これで終わりか」って切なくなってた男が、今は「次はどう喜ばせようか」を考えてる。

思い出って、終わらせなければ、続くんですね。

(ラーメン屋だけど、意外と考えてるでしょ?)