「熱が何度だったら、休みますか?」——パートさんの答えに、覚悟の差を見た話

開店前の厨房で、エプロンの紐を結んでいる手元

先にはっきり書いておきますね。

今日の話は「体調が悪くても出勤しろ」という話では、ありません。 むしろ逆のことも書きます。最後まで読んでもらえたら、うれしいです。

「休ませてください」に、僕は「分かりました」と返す

先日ね、あるスタッフから連絡が来たんですよ。

「体調が悪いので、休ませてください」

僕の返事は、**「分かりました」**です。それだけ。

無理に出勤させることなんて、今の時代できないし、するつもりもないです。体調不良の欠勤連絡には、うちはこれで終わり。責めもしません。

——ここまでは、普通の話です。

で、パートさんに聞いてみたんですよ

そのあとね、うちで働いてくれてるパートの主婦の方に、ふと聞いてみたんです。

「熱が何度だったら、休みますか?」

そしたら、こう返ってきました。

「熱が何度あろうが、休まないですよ。とりあえず出勤します。」

おお、と思ってたら、続きがあって。

「そのうえで、しんどかったら『早めに上がらせてください』って言いますけどね」

——これを聞いてね、僕、思っちゃったんですよ。

あー、これだよな。

「これだよな」の中身

誤解されたくないので、ちゃんと分解しますね。

僕が痺れたのは、「休まない」の部分じゃないんです。その後ろの組み立てなんですよ。

休むか、出るか。0か100かの二択にしてないんです。

まず出勤する。せめてピークの時間だけでもやる。それで、しんどくなったら早めに上がらせてもらう。——間の選択肢を、自分で持ってるんですよね。

体調って、0か100かじゃないじゃないですか。「動けなくはないけど、万全じゃない」っていう日が、いちばん多い。そのグレーの日をどう扱うか——そこに、その人の根っこの部分が出るんだと思うんですよ。

昼のピーク時の配膳台。湯気の立つ丼が並んでいる

覚悟の差、っていう話

でね、これは**「出る人が偉い」っていう話じゃない**んです。そこは、はっきりさせておきます。

覚悟の違い、なんですよ。

僕自身はね、体調が悪かろうが何だろうが、まず出勤して、まずやってみるという考えでやってます。

なんでかって——店って、簡単に閉められないんですよ。

体調不良で店を閉める。それ自体は、全然ありです。責められることじゃない。

でもね、お客さんからしたら、休みは休みなんです。

こっちにどんな事情があっても、シャッターが閉まってたら「やってない店」。楽しみに来てくれた人にとって、理由は関係ない。「体調不良のため」の貼り紙は、こっちの事情であって、お客さんの事情じゃないんですよね。

その重さを背負ってるかどうか。——それが、経営者と従業員の覚悟の差なんだと思います。そして、差があるのは当たり前なんですよ。背負ってるものが違うんだから。

……と、ここまで言うとね、こう思いますよね

自分へのツッコミも書いておきます。今日はここが本体みたいなものです。

「飲食店で、熱があるのに出るって、衛生的にアウトでは?」

——正論です。そのとおり。

だから、はっきり書いておきます。感染るような症状の人は、帰します。 インフルエンザなのに「とりあえず出ろ」とか、そんな話は一切ないです。お客さんの口に入るものを扱ってる以上、そこを曲げたら終わりなので。

今日書きたかったのは「出ろ」じゃなくて、「0か100かじゃない発想」と「覚悟の差」を見た、という話なんです。そこは間違えないでほしいところです。

「これ、スタッフが読んだら『出ろ』って圧に感じません?」

……鋭いですね。だから僕は、これをスタッフに言わないんです。

休みの連絡には「分かりました」で返す。それ以上は言わない。パートさんの話も、こっちから「見習え」なんて絶対に言いません。

覚悟って、要求した瞬間に、ただの圧になるんですよ。自分の中で持ってるから覚悟なんであって。だからこれは、ブログにだけ書いてます。

「その考え方、時代遅れでは?」

従業員に求めたら、時代遅れどころかアウトだと思います。求めません。

ただね——経営者が自分の店に対して持つ覚悟だけは、時代と関係ないと思ってるんですよ。僕が僕の店を「まず開ける」のは、誰にも強制されてない、僕の勝手な覚悟なので。そこまで時代に合わせて手放したら、何も残らないですから。

昼、のれんの出ている小さな店先

背負ってるものが違うだけ

まとめますね。

休みの連絡には「分かりました」。無理強いはしない。感染る症状なら帰す。——ここは、動かしません。

そのうえで、あのパートさんの言葉は、僕の中に残りました。

「まず出勤します。しんどかったら、早めに上がらせてもらいます」

0か100かじゃない。間を自分で組み立てる。 あれは強さというより、大人の知恵なんだと思います。

そして、経営者の僕はというと——熱があっても、まず店を開けます。お客さんからしたら、休みは休みだから。

出る人が偉いんじゃない。休む人がダメなんでもない。

背負ってるものが違うだけ。

それが見えた、っていう話でした。