店のお金・仕組み

ラーメン屋は儲かる?店主の年収は?——月の売上から手元に残るお金まで、実際の数字で全部見せます

閉店後のラーメン店のカウンターに、数え終えた小銭のトレーと紙幣の束が置かれている

「ラーメン屋って、儲かるの?」

これ、本当によく聞かれるんですよね。で、ネットで調べると、「客単価900円で、1日100杯売れたら……」みたいな計算が、いっぱい出てくる。

でも、あれ、机の上の計算なんですよね。

なので今日は、うちの実際の数字で答えます。レシートと、通帳と、税理士さんに出している資料から拾った数字です。

先に、結論を言いますね。

僕の手元に残るのは、月に50万〜60万円くらいです。

単純に12倍すると、年で600万〜700万円くらい。これが、地方で小さなラーメン屋をやっている店主の、正直なところです。

じゃあ、その50万〜60万円が、どこから来て、どこへ消えていくのか。全部、見せますね。

売上は、月に約330万〜390万円

まず、入ってくるお金から。

うちのレシートを、毎日記録してるんですけど、この夏から秋の4か月は、こんな感じで。

月 売上 お客さん 1日の平均売上
7月 約331万円 約3,850人 約13万円
8月 約385万円 約4,600人 約16万円
9月 約372万円 約4,370人 約15万円
10月 約326万円 約3,800人 約13万円

1日に来てくれるお客さんは、だいたい150人〜190人。客単価は、850円前後です。

8月が一番多いのは、お盆があるからですね。逆に、10月はちょっと落ちてる。季節で、けっこう動くんですよ。

「月に300万円以上も売れてるなら、儲かってるじゃん」

そう思いますよね。僕も、雇われてたころは、そう思ってました(笑)。

でも、ここからが本番なんです。

出ていくお金を、全部並べると

9月を例にしますね。売上は、約372万円。

出ていくもの 9月の金額
材料費(原価率32%) 約119万円
パートさんの給料 約40万円(忙しい8月は約48万円)
家賃 10万円
電気 約10万円
ガス 約7万円
水道 約2.4万円(2か月で約4.8万円)

これを引くと、残りは約180万円。

……あれ、けっこう残るじゃん、って思いました?

僕も、表にしたとき、一瞬そう思ったんですよ。でも、違うんですよ。

ちなみに、ガス代が月7万円もかかるのは、スープを長い時間炊くからです。電気も、冷蔵庫や製麺の機械、エアコンが一日中動いてる。ラーメン屋の光熱費って、普通の家とは桁が違うんですよね。

厨房のガスコンロで大きな寸胴が強火にかけられ、青い炎と湯気が上がっている

180万円が、全部手元に残るわけじゃない

この表には、まだ入っていないものが、たくさんあって。

消耗品、清掃、機械の保守、保険。細かい経費が、毎月いろいろ出ていく。

それから、税金。

開業の「やめとけ」の記事にも書いたんですけど、税金は、儲かってなくても来るんですよ。実際、うちの通帳には、消費税で約100万円が一度に引き落とされた月があります。100万円ですよ。ラーメン、1,000杯以上ぶんですよ。

こういうのを全部払って、最後に僕の手元に残るのが、月50万〜60万円くらい。

売上372万円のうち、手元に来るのは、だいたい7分の1くらい。そういう商売です。

これを「儲かる」と見るか

月50万〜60万円。年で600万〜700万円くらい。

これを多いと見るか、少ないと見るかは、たぶん人によると思います。

ただ、ひとつだけ言っておくと、この数字は、店主が毎日、店に立ってる前提の数字です。ラーメン屋の一日の流れにも書きましたけど、仕込みから閉店まで、とにかく長い。しかも、閉店して家に帰ってからが本番で、給料計算やシフトや税金のことを、夜中まで考えてる。

その時間ぜんぶ込みで、この金額。それを分かったうえで判断してほしいんです。

一番きつかったのは、オープンしたばかりのころ

じゃあ、一番きつかったのはいつか。

これはもう、オープン当初です。

だって、何も分からないんですよ。それなのに、お客さんはすごく来る。スタッフも、何をやっていいか分からないし、慣れてない。全部が、手探り。

あのころが、一番きつかったですね。

営業的にきついのは、冬

それから、毎年きついのが、冬です。

雪が降っちゃうと、お客さんの足って、急に遠のくんですよ。さっきの表で言うと、売上が一番いい8月と比べて、ガクンと落ちる。

で、ここが難しいところで。

お客さんが減っても、スタッフは働きたいわけですよね。だから、出勤を少なくするにしても、少なくしすぎたら、「じゃあ、辞めよう」ってことになる。

辞められたら、春に困るのは、こっちなんです。だから、つなぎ止めなきゃいけない。

そこは、もう、スタッフとの駆け引きですね。

減らす理由を、ちゃんと説明する。そのうえで、「まあ、しょうがないよね」って納得してもらえれば、OK。説明なしで削ったら、たぶん、人は離れていきます。

雪の夜、飲食店のガラス戸の外に雪が積もり、人通りがない

儲かる店と、儲からない店の違い

最後に、一番大事な話をします。

儲かるラーメン屋と、儲からないラーメン屋。何が違うのか。

僕の答えは、シンプルです。

自分で、いっぱい汗をかくかどうか。

人に任せると、その分、人件費がかかります。さっきの表で言えば、パートさんの給料の行が、どんどん太くなる。

もちろん、人に任せること自体は、戦略としてありなんですよ。ただ、それなら、ちゃんと次につなげないとダメなんです。

社員を雇って、自分の手が空いた。じゃあ、その空いた手で、何か別のことをする。もう一店舗出すとか、新しい仕事をつくるとか。そういう考えをしないとダメ。

一番ダメなのは、社員を雇って、「やった、手が空いた」で終わっちゃうこと。

それは、人件費を払って、自分が楽をしてるだけなので。その分、手元に残るお金は、確実に減ります。

店主が倒れたら営業停止、という話でも書きましたけど、個人のラーメン屋の一番の強みも、一番の弱みも、店主そのものなんですよね。

……と、ここまで言うとね、こう思いますよね

自分へのツッコミも、書いておきます。

「そんなに数字を出して、大丈夫なんですか?」

正直、ちょっと迷いました。

でも、ネットにあるのは、「客単価×杯数」の計算ばかりなんですよ。本当に開業を考えてる人が知りたいのは、たぶん、計算じゃなくて実際の数字だと思うので。

「原価率32%って、高くないですか?」

ラーメン屋としては、普通くらいだと思います。原価の内訳は、トッピングまで別の記事で全部出してます。

「同じくらい売れれば、誰でも同じくらい残るんですか?」

それは、分かりません。家賃も、人件費も、店によってぜんぜん違うので。

それに、同じ味を出しても、場所が違えば、同じだけお客さんは来ない。売上そのものが、店によってまるで違うんですよ。この数字は、あくまで「うちの場合」です。

湯気の中、首にタオルをかけた料理人が麺を湯切りしている後ろ姿

ラーメン屋は、汗をかいた分だけ残る商売

まとめますね。

うちの売上は、月に約330万〜390万円。そこから、材料費、パートさんの給料、家賃、光熱費を引くと、約180万円。さらに細かい経費と税金が出ていって、僕の手元に残るのは、月50万〜60万円くらいです。

一番きつかったのは、何も分からなかったオープン当初。毎年きついのは、雪でお客さんが遠のく冬。

そして、儲かる店と儲からない店の違いは、自分でいっぱい汗をかくかどうか。

ラーメン屋は、儲かるのか。

僕の答えは、**「汗をかいた分だけ、ちゃんと残る商売」**です。