バイトは暇な方がいい?——「今日は忙しそう」とこぼしたスタッフに、店主が笑って飲み込んだ本音
2026-11-03

今日、祝日だったんですよ。
で、スタッフが、ぼそっと言ったんです。
「今日、なんか忙しそうな気がする……。不安的中だ」
僕、それを聞いて、笑っただけでした。
でも、心の中では、こう思ってたんですよね。
いや、忙しくなってもらわなきゃ、困るんだよ。
店は、忙しくなきゃ困る
当たり前の話なんですけどね。
店って、忙しくないとダメなんです。お客さんが来て、ラーメンが売れて、その売上から、材料を買って、家賃を払って、スタッフの給料を払ってる。
ラーメン屋の売上とお金の流れは前に全部書きましたけど、暇な日が続いたら、真っ先に苦しくなるのは、そこなんですよ。
だから、店主からすると、忙しい日はありがたい日なんです。
でも、スタッフからすると、忙しい日は「不安的中」の日。
この温度の差で、ちょっと見えてきたことがあったんです。
「暇な方がいい」は、ある意味、自然
先に言っておくと、スタッフの気持ちも、分かるんですよ。
時給は、暇な日も忙しい日も同じ。だったら、暇な方が楽で得じゃん。働く側から見たら、ある意味、自然な考え方だと思います。
ただ、店主として、ひとつだけ言いたいことがあって。
忙しいから、給料が払えるんだよね。
もし毎日が暇だったら、そもそも、あなたを雇う必要がないんです。時給を上げる必要も、ない。
……まあ、それを本人に言うかどうかは、また別の話なんですけどね(笑)。でも、正直、そう思ってます。

忙しい方がいい人と、暇な方がいい人は、ここが違う
で、ここからが、今日いちばん書きたかったことです。
これまで、いろんなスタッフを見てきました。その中で、「売上を取ろう」としているスタッフ、つまり忙しい方がいいって思えるスタッフと、暇な方がいいスタッフ。見ていると、はっきり違うところがあるんです。
| 見えるところ | 忙しい方がいい人 | 暇な方がいい人 |
|---|---|---|
| 忙しいときの顔 | 嫌そうに働いてない | どこか乗り気じゃない |
| 忙しさが終わったあと | やりきったような表情 | 「疲れた」「大変だった」 |
| そのあとの一言 | 「あそこ、こうでしたね」「あのお客さん、こうでしたね」 | (振り返りは、あまり出てこない) |
いちばん大きいのは、三つ目なんですよ。
忙しい方がいい人は、忙しかった時間を、振り返るんです。
「あそこで、こうでしたね」「あのお客さん、こうでしたね」って。終わったあとに、自分から話してくる。
これ、何をしてるかというと、忙しかった時間を、ただの「疲れた時間」で終わらせてないんですよね。次に活かす材料にしてる。だから、忙しい日を通るたびに、その人は一段ずつ上がっていく。
逆に、暇な方がいい人は、「疲れた」「大変だった」で終わる。忙しかった時間が、ただの疲れとして残るだけ。
同じ時間を働いても、そこから持って帰るものが、まるで違うんです。
伸びるのは、仕事だけじゃない
もうひとつ、見ていて思うことがあります。
売上を取るぞ、っていう熱意がある人は、仕事ができるようになるだけじゃなくて、人として伸びていくんですよ。人間力、って言えばいいのかな。
お客さんのことを見るようになる。周りのスタッフのことも見るようになる。自分がどう動けば店が回るかを、考えるようになる。それって、店の外でもそのまま使える力なんですよね。
長く続く人は、最初の1週間で「待たない」と前に書きましたけど、根っこは同じだと思います。
一方で、暇な方がいいとか、暇だと助かるとか、そういう声が出る人。この人たちも、やることは、それなりにやってくれるんです。 サボるわけじゃない。
でも、乗り気じゃない、っていうのが、すごく伝わってくる。
そして、正直に言うと、伸び方が違う。

そういう人と働く方が、楽しい
それに、これは店主の本音なんですけど。
忙しい方がいいって言える人と働く方が、僕はめっちゃ楽しいし、心地いいんです。
忙しい日を一緒に乗り越えて、終わったあとに「あそこ、こうでしたね」って話せる。そういう人と働く時間は、本当に心地いいんですよね。
熱量は、できない人に合わせないって書いたことがありますけど、裏を返せば、熱量のある人と一緒にいると、こっちの熱量も上がるんです。
……と、ここまで言うとね、こう思いますよね
自分へのツッコミも、書いておきます。
「それって、店主の都合じゃないですか?」
はい、店主の都合でもあります(笑)。忙しい方が、店は助かるので。
でも、それだけじゃないんですよ。さっきの表の三つ目、「振り返り」。あれは、店のためというより、その人自身のためなんです。忙しい時間を振り返れる人は、どこへ行っても伸びていく。それは、店主の都合とは関係なく、本当にそう思ってます。
「暇な方がいいと思うのは、ダメなことなんですか?」
ダメとまでは言わないです。人それぞれ、働く理由も違うので。
ただ、「忙しいのは嫌だ」と思ったまま働くのは、たぶん、本人がいちばんしんどいんですよね。同じ忙しさが来るなら、嫌々通るより、振り返れる方が、得だと思うんです。
「じゃあ、そのスタッフに言えばいいのに」
それが、言ってないんですよ。今回は、笑っただけ。
言うかどうかは、正直、まだ決めてません。

忙しさを喜べる人は、伸びていく
まとめますね。
祝日、スタッフがこぼした「今日は忙しそう、不安的中」。時給が同じなら、暇な方がいい。その気持ちは、分かります。
でも、店は忙しくないと給料が払えない。そして、いろんなスタッフを見てきて思うのは、忙しい方がいいと言える人は、仕事でも、人としても伸びていくということです。
違いが出るのは、忙しさが終わったあと。「疲れた」で終わるか、「あそこ、こうでしたね」と振り返るか。
忙しさを喜べる人と働くのは、やっぱり、楽しいです。