★1の口コミ、返さなくていいと思ってました——でも返信を読んでるのは、書いた本人じゃなかった
2026-10-01

正直に言いますね。
Googleの口コミに★1がつくと、僕、けっこう腹が立つんです。
「お客様の声は宝です」みたいな、きれいな話じゃなくて。普通に、腹が立つ。
今日はその、腹が立ってた店主が、悪い口コミに返信するようになるまでの話です。返信なんて面倒くさい、意味あるの?って思ってる店主さんにこそ、読んでほしいんですよね。
★1にも、4種類ある
あらためて、うちについた★1を並べて見てみたんですよ。
そしたら、同じ★1でも、中身がぜんぜん違うんです。
ひとつめ。「卵がよくない」。
これはね、まあ、確かにそうだなって。ちょっと甘かったな、と。これは反省です。言われて当然のやつ。
ふたつめ。「コクがない」「麺が茹ですぎ」。
これは……正直、うるせえなって思ってます(笑)。うちはすっきりした味を狙って作ってるので、そこは好みの話なんですよね。言われるたびに、ちょっと腹が立つ。
みっつめ。駐車場のことで怒ってる口コミ。
張り紙もしてるんですよ。店の前のパイロンの上にも「ここに止めてください」って出してる。それを見てくれよ、と。見ないで言うのは、やめてほしい。
よっつめ。星だけで、文章なし。
これはもう、知ったこっちゃない、っていうのが本音です。
ね、こうやって分けると、ぜんぜん別物でしょ? でも、画面の上ではぜんぶ同じ「★1」の顔をして並んでる。だから、まとめて胸にくるんですよね。
冷ますつもりが、放置になった
じゃあ、なんで返信しなかったのか。
面倒だったのもあります。でも一番は、頭に来てるまま返したら、絶対に喧嘩口調になるって分かってたからなんです。
だから、まず冷まそう、と。ほとぼりが冷めてから返せば、ある程度は冷静に書けるから。
これ、判断としては間違ってなかったと思うんですよ。スープだって、火が強すぎるときは一回おろしますから。
ただね。冷ましてる間に、次の口コミが来る。それもまた冷ます。また来る。
気づいたら、鍋がいくつも積み重なって、どこから手をつけていいか分からなくなってた。冷ますつもりが、ただの放置になってたんです。
それと、もうひとつ、正直な気持ちを書いておきます。
こういう口コミを読むと、僕、「この人、自分で店をやったことはないんだろうな」って思っちゃうんですよ。材料が上がって、人が足りなくて、それでも毎日同じ味を出す。その難しさを知らないから、ひと言で書けるんだろうな、って。
悔しかったんです。 それが、返信の手を止めてた一番の正体かもしれません。

返信を読んでいるのは、温度ゼロの人たち
で、ここからが、今日いちばん書きたかったことです。
最近、AIを使って、溜まってた口コミにまとめて返信したんですね。そのとき、ひとつ気づいたことがあって。
返信を読むのは、★1を書いた本人だけじゃない。
むしろ本人より、あとからその口コミを見に来る人のほうが、ずっと多いんですよ。「この店、どうなんだろう」って調べに来た人たち。
その人たちって、温度ゼロなんです。
怒ってもないし、店の味方でもない。ただ、フラットに眺めてる。
そこに、店主が喧嘩腰で言い返してたら、どう見えるか。
「何、熱くなってんだ、こいつら」ですよね。★1の中身がどんなに的外れでも、言い返した店のほうが、ちょっと怖く見える。
だから、返信で狙うのは、書いた本人を言い負かすことじゃないんです。見に来た人に、**「あ、この店って誠実なんだな」**と思ってもらうこと。
これ、僕にとっては新しい気づきでした。
AIは、一枚板
じゃあ、腹が立ってるのに、どうやって誠実な文章を書くのか。
僕がやったのは、本音をAIにしゃべることです。
「うるせえな」とか「張り紙見てくれよ」とか、そういうのも含めて、スマホにそのまま話す。そのうえで、「見に来た人が読んで、誠実に見える返信にして」と頼む。
そうすると、言い分の中身はちゃんと残したまま、角だけ取れた下書きが出てくるんですよ。あとは、自分の店の言葉に直して、投稿するだけ。
返し終わったときの感覚は、なんて言えばいいかな。
一枚、板を挟んでる感じなんです。
自分の言葉を、自分の口調のまま相手にぶつけてない。ダイレクトアタックじゃない。間に、クッションがある。だから、★1にも返せたんだと思います。
おもしろいことがあってね。返信した★1の方のうちひとりが、そのあと、自分で口コミを書き直してくれたんですよ。きつかった一文が消えて、表現がやわらかくなってた。
もちろん、全員がそうなるわけじゃないです。でも、板を一枚挟んで返したら、向こうもちょっと力を抜いてくれた。そういうことも、あるんですね。
で、返信すると、順位は上がるの?
ここ、気になりますよね。僕も気になって、調べてみたんです。
よく「口コミに返信するとGoogleマップの順位が上がる」って言われるじゃないですか。でも、Google自身は、そうはっきりとは書いてないんですよ。
Googleのヘルプに書いてあるのは、順位は「関連性・距離・知名度」で決まるということ。返信については、「有用な返信は、ビジネスの注目度を高めるのに役立ちます」くらいの書き方です。「返信したら順位が上がります」とは、どこにも書いてない。
じゃあ意味がないのかっていうと、そうでもなくて。
アメリカの研究で、ホテルの口コミを調べたものがあるんです。返信を始めたホテルは、口コミの数が12%増えて、評価が平均0.12星上がった。 理由がおもしろくて、「店が読んでると分かると、根拠のない文句を書く人が減るから」なんですって。
つまり、返信が順位を直接押し上げるというより、返信すると、口コミの中身のほうが変わっていく。僕の★1が書き直されたのも、たぶん、これなんですよね。
ここは正直に書いておきます。返信したら順位が上がる、とは僕も約束できません。 うちでも、そこまでは測れてないので。
(出典:Google ビジネス プロフィール ヘルプ「Google でのローカル検索結果のランキングを改善する方法」/Proserpio & Zervas, Marketing Science, 2017)

返信は、謝罪文じゃない
……と、ここまで書くとね、「いや、それでも面倒くさいよ」って思いますよね。
分かります。僕も、同業の店主さんって、口コミを割と軽く見てる人が多いんじゃないかなと思ってて。困ってるというより、「なんでそんな面倒なこと、しなきゃいけないんだ」って。
僕自身、返信に意味がないと分かったら、たぶん返さないです。
でもね、今はこう思ってます。
口コミの返信は、お客さんへの謝罪文じゃない。店の考え方を見せる場所なんだ、って。
見に来た人は、★1の中身より、それに店がどう答えたかを見てる。そこに、その店の考え方が出るから。
面倒だと思ってる店主さんほど、一回、本音をスマホにしゃべってみてください。板を一枚挟めば、案外、返せますから。
やり方をまとめたnoteを書きました。 本音をしゃべってAIに下書きさせる手順と、そのまま使える指示文、返す前のチェック表をまとめています。★1の実例1件は、無料で読めます。