「調子悪いの?」の一言——挨拶のとき、必ず相手の顔を見ている理由
2026-08-26

今日あったこと、そのまま書きますね。ほんとに小さい話なんですけど。
夕方5時、学生スタッフが出勤してきました
うちで働いてくれてる学生の子がいてね。夕方5時から入ってくれてるんですけど。
その子が今日、いつもみたいに挨拶してくれて。
——あれ。
で、僕が最初に言った言葉が、これでした。
「調子悪いの?」
なんで、そう聞いたか
声がね、鼻声だったんですよ。
いつもと違う。それだけです。
そしたらその子、こう言って。
「はい、そうなんです」
——このとき、その子、ちょっと嬉しそうだったんですよ。
体調が悪いのに、嬉しそう。変な話ですよね。でも、確かにそうだったんです。
あの嬉しさは、なんだったのか
たぶんね、これだと思うんですよ。
「あ、気づいてくれたんだ」
体調が悪いことが嬉しいわけないですから。気づかれたことが、嬉しかったんですよね。
これ、僕にはよく分かるんですよ。だって、誰だってそうじゃないですか。自分のことを見てくれてる人がいるって、それだけで、ちょっと嬉しいでしょう。
なんで、気づけたか
これね、偶然じゃないんですよ。ちょっと自慢っぽく聞こえたら、すみません。
僕、挨拶するときはね、必ずその人の顔を見ながら言うようにしてて。もう、癖みたいなもんなんですけど。
前に「挨拶は、あなたの存在に気づきましたよっていう合図だ」って書いたことがあります。あれをね、毎日そのままやってるだけなんです。
そうするとね——気づいちゃうんですよ、小さい変化に。
声が違うな、とか。顔色が、ちょっとな、とか。今日は動きが硬いな、とか。
で、気づいたらすぐ言う。 ここも大事にしてて。あとで言おうと思うとね、たいてい言わずに終わっちゃうんですよ(笑)
で、そのあと何をしたか
正直に書きますね。特別なことは、何もしてません。
聞いたのは、いつからきついの、とか。熱はあった?とか。大丈夫か、とか。その程度です。
それ以上は、聞きませんでした。
仕事もね、いつも通りです。熱はないって言ってたので、そのまま入ってもらいました。しんどくなったら言ってね、とだけ伝えて。

で、何か変わったか
ここも正直に書きます。
何も変わってません。
売上が上がったわけでもないし、その子が急に成長したわけでもない。
たぶんね、その子が思ったのは、これくらいだと思うんですよ。
「この人、よく気づくんだな」
それだけ。それだけなんですけどね——僕は、こういうのが積み重なっていくんだと思ってます。
裏返すと、こうなるんですよ
ここからは、あんまり言われないことを書きます。
顔を見るって、裏返すと「見られてる」ってことなんですよね。
これ、自分でも考えてみて、確かになあ、と思って。
体調に気づいてもらえるのは、嬉しい。でも同じ目がね、別のものも見てるんですよ。
あなたの仕事も、見てますよ、っていうことでもある。
「手を抜いたら、すぐ分かるよ」
僕ね、スタッフが手を抜いたら、すぐ分かります。
毎日その人を見てるからです。いつものスピード、いつもの丁寧さを知ってるから、そこから落ちたらすぐ気づく。
でもね——これは、言いません。
「見てるからな」なんて言ったら、ただの脅しですから。言わないから、意味があると思ってるんですよ。
そのかわり、鼻声には気づいて、声をかける。
そうするとね、たぶん相手はこう感じるはずなんです。
この人、見てるな。
その「見てるな」の中に、優しさも、緊張感も、両方入ってる。 僕は、それでいいと思ってます。
……と、ここまで言うとね、こう思いますよね
自分へのツッコミも書いておきます。
「それ、監視じゃないですか?」
——半分は、そうです。 否定しません。
ただね、監視って**「悪いところを探すために見る」**ことじゃないですか。僕がやってるのは、そうじゃないつもりで。
だって、先に声をかけたのは体調の話ですからね。ミスの話じゃない。
見る目は同じでも、何に先に反応するかで、意味が変わると思ってるんですよ。ミスにだけ反応する人は、たぶん監視。体調に先に反応する人は、たぶん違う。
……って、思いたいだけかもしれませんけどね。
「気づいても何もしないなら、意味なくないですか?」
これ、けっこう鋭いところ突かれたなと思いました。
実際、僕は何もしてないですから。仕事も普通にしてもらいましたし。
でもね——「気づかれること」自体が、その人にとっての何かなんだと思うんですよ。
その子が嬉しそうだったのは、休ませてもらったからじゃない。気づかれたからです。何もしてないのに、嬉しそうだった。そこが答えな気がするんですよね。
「体調が悪い子を働かせるんですか?」
熱がないことはね、最初に確認しました。そこは聞いてます。
そのうえで、しんどくなったら言ってねとは伝えてあります。無理はさせません。
ただ、正直に言うとね。うちみたいな小さい店はギリギリの人数で回してるので、ここは毎回悩むところなんですよ。きれいな答えは、まだ持ってません。

小さいことしか、できないので
まとめますね。
今日やったことって、たった一言です。
「調子悪いの?」
これで何かが変わったわけじゃない。売上も、その子の実力も、何も動いてません。
でもね、こういう小さいことしか、僕にはできないんですよ。
給料を倍にすることはできません。休みを増やすのも、今のうちの規模だと、そう簡単じゃない。
できるのは、顔を見て挨拶することくらいなんです。
——でもね。
前に「もう、いいや」と思って、あるスタッフの顔を見なくなった時期がありました。あのとき、その人は辞めていきました。
顔を見なくなると、人はいなくなるんだと思います。
だから僕は、今日も顔を見て挨拶します。それくらいしか、できることがないので。