スタッフに、メロンを配りました——1万5千円で、40人に届いた話
2026-08-17

前の記事で「人の管理がいちばん難しい」って、頭を抱えた話を書きました。
今日は、その裏側の話です。同じ日に、僕がやったこと。
メロンを、配りました
スタッフ全員に、メロンを一人一個、配りました。
農家さんから直接買った、いいやつです。1個1,500円。それを10個買ったので、しめて1万5千円。
正直、金額としてはまあまあ、でかいです。ラーメン何杯分だ、って考えると、ちょっと手が止まる金額ですよね。
でもね、これ、面白いことがあるんですよ。
なんで「メロン」なのか
お菓子でも、商品券でも、なんでもよかったはずです。じゃあ、なんでメロンか。
メロンって、一人じゃ食べきれないんですよ。
だから、必ず家に持って帰ることになる。そして、家族で切り分けて食べることになる。
つまり、こういうことなんです。
スタッフ一人へのプレゼントじゃなくて、その背後にいる家族へのプレゼントになる。
10人に配ったつもりが、実際には10世帯に届いてる。人数で言えば、たぶん30人とか40人に届いてるんですよ。
1万5千円を10で割ると1,500円。でも、40で割ったら——375円です。

家族には、いいところしか見えない
もうひとつ、大事なことがあります。
働いてる本人は、いいことも嫌なことも、両方見てるんですよ。注意されることもあるし、しんどい日もある。前の記事に書いたとおり、泣くこともある。
でも、家族には、いいところしか見えない。
家族の目に映るのは、こうです。
- うちの子が働いてる店が、メロンを持たせてくれた
- しかも、わざわざ農家さんから直接買った、いいやつ
- 家族みんなで食べられるものを、選んでくれてる
これで何が伝わるか。**「あの店は、うちの子を大事にしてくれてるんだな」**です。
で、何が起きるか
家で、スタッフが仕事の愚痴を言ったとします。
そのとき、家族が店の味方をしてくれるんですよ。
「でも、あそこの店長さん、メロンくれた人でしょ」って。
——これ、めちゃくちゃ大きいと思うんです。だって、辞めそうになったとき、家に引き止め役がいるってことなので。
僕がどれだけ現場で頑張っても、その子の家の中まではフォローできません。でもメロンは、家の中に入っていける。
給料では、届かないところがある
前に「うるさく言ってる分は、給料で返す」って書きました。あれは今でもそう思ってます。
でも、給料って——家族には見えないんですよ。
明細を家族に見せる子なんて、そんなにいないでしょう。時給を50円上げても、家族は知らない。
でも、メロンは見える。 食卓に出るから。
だから僕は、この二つは別物だと思ってます。給料は、本人への返し方。プレゼントは、その背後にいる人たちへの返し方。
一人あたりじゃなく、届く人数で考える
前に、客単価の記事で書きました。「10円 × 3,000人 = 3万円」の話です。
あれと、実は同じ発想なんですよ。
単価じゃなくて、掛け算で考える。
1,500円のメロンを「高いなあ」と見るか、「一人あたり375円で40人に届く」と見るか。同じ1万5千円でも、見え方がまったく変わるんです。
これ、ラーメン屋の商売にも、スタッフへの気持ちにも、同じ物差しが使えるんだなと思いました。
……と、ここまで言うとね、こう思いますよね
自分へのツッコミも、書いておきます。
「結局それ、計算ずくの人心掌握でしょ?」
——うーん。半分は、そうです。 正直に言うと、僕はさっき書いたようなことを、ちゃんと考えてます。効果を狙ってます。
でもね、もう半分は、単純に**「うまいメロン食わせたい」**なんですよ。
農家さんから直接買ったのも、そのほうがいいやつが手に入るからです。計算だけなら、スーパーの安いやつでもよかった。でもそれじゃ、なんか違うでしょ。
気持ちがあって、そのうえで、どうせなら効くやり方を選ぶ。 その順番なら、ズルくないと思ってます。逆になったら、たぶんバレます。
「メロン嫌いな人がいたら?」
……あ。
すみません、そこまで考えてませんでした(笑)。次は聞きます。

目の前の一人と、その背後の人たち
まとめます。
同じ日に、僕は新人を泣かせて頭を抱えて、そしてメロンを配ってました。
なんか、変な一日だなと思うんですけど——でも、たぶんこれ、同じことをやってるんですよね。
目の前の一人と、ちゃんと向き合う。そしてその人の背後にいる人たちのことも、忘れない。
人の管理は、やっぱり難しいです。答えも出てません。
でも、メロンくらいは、迷わず配れる。 そういうことも、たまにはあっていいと思うんですよ。
追記。 うちは近くの農家さんから直接買いましたが、「スタッフや誰かの家族に、まるごと届くもの」を探すなら、産直のメロンはネットでも買えます。