夜8時に、電話しました——「辞めてもらおうか」と思っていた新人が、泣いた話
2026-08-16

今日は、頭を抱えた日の話です。
明らかに、やる気がなかった
新人スタッフがひとりいるんですけどね。今日は、明らかにやる気がなかったんですよ。
まず、声が小さい。「いらっしゃいませ」も「ありがとうございました」も、届いてない。行動も遅い。
さあ、どうするか。
僕は、その場では言いませんでした
正直に言うと、言いたい気持ちはありました。でも、その場では言わなかったんです。ちょっと様子を見ることにしました。
で、営業が終わってから、こう伝えました。
「営業中は忙しくて話せなかったから、夜8時に電話していい?大丈夫?」
「あ、はい。大丈夫です」
——この「大丈夫ですか?」を挟むの、僕は大事だと思ってるんですよ。いきなりかけない。相手にも心の準備をしてもらう。LINEじゃなくて電話にしたのも、文字だと冷たくなるからです。
電話する前、僕が考えていたこと
ここは、正直に書きます。
電話をかける前、僕はこう思ってました。
「やる気がないんだったら、もう辞めてもらおうかな」
そういう話をするつもりで、電話に向かってたんです。
でも——直前で、思い直しました。
まずは、相手の話を聞かないとダメだ。こっちが一方的に言っても、何も解決しない。
だから最初に、こう聞きました。「今、やる気ってどれくらいある?」って。
返ってきた答え
「やる気は、あります」
——え、と思いました。じゃあ、なんで今日はあんな感じだったの?と聞いたら、そこから、話が出てきたんです。
指導役につけていた人が、細かすぎる。ずっと監視されているようで、すごくやりにくい。
そして、話しているうちに——その子、泣き始めちゃったんですよ。

出てきた具体例が、けっこう刺さった
聞いていくと、具体的な話が出てきました。
うちの洗浄機って、ラックが2種類あるんです。コップ用のフラットなやつと、丼を立てる突起が付いたやつ。
指導役の人は「コップはコップのラック、丼は丼のラックに入れてください」と、きっちり言う。……正しいんですよ。ルールとしては、まったく正しい。
でも、その子が言うには——「他の人は、突起のほうの隙間にコップを入れてます」
……これ、僕、知ってるんです。実は僕も、2〜3個くらいなら「まあ、いいか」って見てました。
チャーシュー丼の話も出ました。焼き方、盛り付け、並べ方、ご飯を入れるタイミング。全部いちいち見られる。「このタイミングじゃなきゃダメ」って言われるけど、他のスタッフは違うタイミングでやってますよね?——って。
これ、返す言葉に困りました。だって、そのとおりだから。
僕が伝えたこと
もちろん、伝えるべきことは伝えました。
「テンションが下がったのは、分かった。でも、それでお客さんに、やる気のない対応をするのは違うよね」
ここは譲れません。お客さんは、うちの内部事情なんて関係ないので。
でも、その子の言い分も、間違ってなかった。「守れ」と言われたルールを、他の人は守っていない。 それを自分だけ細かく詰められたら、そりゃ心が折れます。理不尽ですよ。
今日いちばん思ったこと
で、電話を切ってから、思ったことがあります。
人の管理が、経営でいちばん難しい。
経営って、いろいろやることがあります。売上を上げるのも大事。経費を見直すのも大事。原価率とか、客単価とか、このブログでもさんざん書いてきました。
でもね。数字は、まだ何とかなるんですよ。 計算すれば見えるから。
人は、違う。
そこで働く人と人のつながり。誰が誰にどう注意するか。その言い方で、相手がどう感じるか。——ここを管理するのが、本当に、本当に難しい。
今日はもう、頭を抱えましたよ。大変だな、これは、って。
で、これから何をするか
まだ答えは出てません。でも、今日の話から見えたことが、ひとつあります。
僕が向き合うべきなのは、泣いた新人じゃなくて、僕の店のルールなんですよ。
だって、あの子の言い分の核心は「細かく言われた」じゃなくて、**「自分だけ細かく言われた」**なんですから。
ルールが全員に適用されてないと、指導は「指導」じゃなくて「攻撃」に見えるんです。指導役の人は、正しいことを言ってる。それなのに嫌われる。それはたぶん、僕がルールを曖昧にしてきたツケなんですよね。
前に、貢献してくれる子に厳しく言った話を書いたとき、「表のルールは、全員に公平に」って書きました。あれ、自分で書いておいて、できてなかったってことです。
コップのラック。丼のラック。「まあ、2〜3個ならいいか」——その僕の「まあ、いいか」が、今日、あの子を泣かせた一因なんだと思います。
……と書いたけど、そんな単純じゃないんです
ルールを整えればいい。——そう書いたばかりですけど、今日いちばん難しいと思ったのは、実はその先なんですよ。
ルールって、完全に踏み越えたら、アウトじゃないですか。それは分かるんです。誰が見ても分かる。
問題は、境目なんです。
片足はルールの外に出てるけど、もう片方の足は、ルールの中にある。半歩だけ、はみ出してる。——あの、なんとも言えない微妙なところ。
コップを2〜3個、丼のラックに入れる。まさにそれです。完全なルール違反かというと、そこまでじゃない。でも、正しいかというと、正しくない。
じゃあ、境目まで全部ルールにすればいいのか
これがね、できないんですよ。
「コップは2個までなら丼ラックに入れてよい。ただし混雑時に限る」——こんなルールを、全部の作業で作ったら、どうなるか。
店が、めちゃくちゃ堅苦しくなる。
マニュアルが分厚くなって、誰も覚えられなくて、みんな萎縮する。そんな店で働きたいですか?僕は嫌です。うちを、そういう店にはしたくない。
だから、境目は——その人の判断に委ねるしかない。
でも、委ねた瞬間に、今日の問題が起きる
……もう、お分かりですよね。
判断に委ねると、人によって基準が変わるんですよ。
僕は「2〜3個なら、まあいいか」。指導役の人は「ダメ」。——どっちも、間違ってない。 でも、その差が、新人には理不尽に見える。
ルールを細かくすれば、店が窮屈になる。 判断に委ねれば、人によってブレる。
——これ、どっちを選んでも問題が出るんです。
今日、僕が本当に頭を抱えたのは、ここでした。

今日は、答えが出ませんでした
いつもなら、記事の最後に「だから僕はこうしてます」って書くんですけどね。
今日は、書けません。答えが出てないから。
売上を上げるのと、経費を見直すのと、人を管理するの。どれがいちばん難しいか。——僕は今日、はっきりしました。人です。 圧倒的に、人。
数字には、正解があるんですよ。原価率31%が良いか悪いか、計算すれば分かる。値上げの効果も、掛け算で出る。
でも、人には、正解がない。
しかも、店主から見えてる景色と、現場の子から見えてる景色は、まったく違う。今日それを、思い知りました。
——同じように頭を抱えてる経営者の方、たぶん、いますよね。今日は結論のない記事ですけど、それでいいと思って書きました。
一緒に、悩みましょう。
